DR.KIKURAGE / ADVERTISING EXPRESSION GUIDE
「腸活美容」「腸活健康」「免疫向上」「医食同源」は使えるのか。根拠法令、判断、代わりの表現、実際の処分例をまとめました。
SUMMARY
体の機能を高めるという「医薬品的な効能効果」そのもの。消費者庁の留意事項でも名指しで例示されています。
「腸活」の語自体は違法ではありませんが、商品と結びつけると「腸内環境を整える」という保健の用途の表示になり、許可・届出のない食品では出せません。
上記に加えて「美容」効果は体の変化を約束する表現。食品で美容・美肌をうたうのは薬機法上NGです。
ことわざ・考え方であり、それ自体は効能表示ではありません。ただし商品説明や商品名の近くに置くと「食べれば効く」の暗示になります。
ドクターキクラゲは一般食品です。言えるのは「栄養成分の事実(出典つき)」「食材としての事実」「食べ方」まで。体に起きる変化(効く・整う・高まる・美しくなる)は、どんな言い回しでも言えない、と覚えておくと判断に迷いません。
01 / PREMISE
食品が体への働きを表示できるかどうかは、国の制度上の区分で決まります。きくらげはどの許可・届出も持たない「一般食品」なので、機能や効果を表示できる枠に入っていません。
「おなかの調子を整える」など、審査を通った表示だけ可。
許可表示のみ可科学的根拠を届け出た機能だけ表示可。「免疫」は現時点でごく一部の届出例のみ。
届出表示のみ可ビタミンDなど決められた栄養成分について、定型文(例:骨の形成を助ける)だけ可。
定型文のみ可体への働きは表示できない。栄養成分の含有量など「事実」の表示は可。
機能・効果は表示不可「栄養豊富」「ビタミンDを含む」「食物繊維が多い」のように、成分の含有という事実を言うことはできます(基準値あり。後述)。「免疫」「腸」「美容」のように、体の側で何が起きるかを言った瞬間に、別の区分の話になります。
02 / LAWS
食品の広告表現は、主に次の3つの法律で見られます。1つの表現が複数の法律に同時にかかることも普通です。
医薬品として承認されていないものについて、効能効果を広告してはならない、という規定です。食品であっても、次のような「医薬品的な効能効果」を表示すると、その食品は未承認医薬品とみなされます。
罰則:2年以下の懲役または200万円以下の罰金(法人も処罰)。2021年8月からは課徴金制度(対象期間の売上額の4.5%)も導入されています。食品でも書類送検・逮捕の実例があります(後述)。
食品の「健康の保持増進の効果」について、著しく事実に相違する表示や、人を誤認させる表示を禁止しています。消費者庁は「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項」で、免疫力を高める、腸活などの表現の扱いを具体的に示しています。
措置:勧告 → 命令。命令違反は6か月以下の懲役または100万円以下の罰金。
実際よりも著しく優れていると誤認させる表示を禁止しています。消費者庁から表示の裏付け資料を求められると15日以内に「合理的な根拠」を出す必要があり、出せなければ違反と扱われます。「免疫を高める」などの処分例は、ほぼこの規定です。
措置:措置命令(事業者名と内容を公表)、課徴金納付命令(対象売上の3%)。
03 / JUDGEMENT
「ドクター」という語そのものは、通知で名指しされた医薬品的名称(「〇〇薬」「〇〇丸」など)には当たりません。ただし、名称の近くに体への働きを示す語(免疫・腸・美容・健康維持など)を置くと、名称も合わせて「医薬品的な効能効果を暗示している」と判断される材料になります。名称の周りには、栽培地・肉厚・栄養成分の事実だけを置く、を徹底してください。
04 / ALTERNATIVES
言えるのは「事実」です。次の4種類に分けて考えると、新しい文章を書くときも判断できます。
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」の値です。「豊富」「多い」と強調する場合は、食品表示基準の基準値を満たす必要があります。下表の成分はいずれも満たしています。パッケージに記載する際は、自社商品の分析値でも確認してください。
| 成分 | 乾燥 100gあたり | 生 100gあたり | 「豊富・高い」と言える基準(100gあたり) | 言い方の例 |
|---|---|---|---|---|
| 食物繊維 | 57.4 g | 5.2 g | 6 g 以上(乾燥は該当。生は100kcalあたり基準3gで該当) | 食物繊維が豊富 |
| ビタミンD | 85.0 μg | 微量 | 1.65 μg 以上(乾燥のみ該当) | ビタミンDを含む(乾燥) |
| 鉄 | 35.0 mg | 0.4 mg | 2.04 mg 以上(乾燥のみ該当) | 鉄を含む(乾燥) |
| カルシウム | 310 mg | 25 mg | 204 mg 以上(乾燥のみ該当) | カルシウムを含む(乾燥) |
| エネルギー | 216 kcal | 14 kcal | 低カロリー:40 kcal 以下(生のみ該当) | 低カロリー(生) |
生きくらげの数値は乾燥に比べて大きく下がります。栄養の強調は「乾燥きくらげ」に限定し、生きくらげでは食感・鮮度・産地を前に出すのが安全です。
| 使いたくなる表現 | 代わりの表現 |
|---|---|
| 免疫力アップ/免疫向上 | ビタミンDを含む(乾燥100gあたり85.0μg)成分の含有という事実だけを言う |
| 腸活に/腸内環境を整える | 食物繊維が豊富(乾燥100gあたり57.4g)腸ではなく成分を言う |
| 美容に/美肌/腸活美容 | 低カロリー(生100gあたり14kcal)。毎日の食事に取り入れやすい体の変化ではなく、食材の性質を言う |
| 体にいい/健康にいい | 栄養豊富な国産きくらげ「いい」は体への働きの約束になる |
| ドクターがすすめる/医食同源のきくらげ | (商品の近くでは使わない)医療の暗示。理念文でのみ「医食同源の考えを大切に」 |
| お客様の声「便秘が治った」「体調が良くなった」 | (掲載しない)事業者が引用した体験談は広告。事実でもNG |
| 骨を丈夫に/骨粗しょう症に | カルシウム・ビタミンDを含む(乾燥)病名・部位への効果は薬機法の典型例 |
05 / CASES
「小さな会社だから見られない」は成り立ちません。処分は事業者名と表示内容が公表され、報道されます。健康食品に限らず、一般食品でも同じ基準で見られます。
ブロッコリー由来成分を「免疫を高めるブロリコ」と広告。消費者庁が根拠資料の提出を求めたが合理的な根拠と認められず、景品表示法(優良誤認)で再発防止などを命じた。
健康食品を「新型コロナウイルス対策」と広告したとして、経営者ら2人と法人を薬機法違反(未承認医薬品の広告)で書類送検。2020年の薬事事犯検挙63件のうち14件がコロナへの効能標ぼう。食品の広告が刑事事件になった例。
出典:日本ネット経済新聞
乳酸菌食品「マクロ元気」等について、摂取するだけで免疫力が高まり、疾病の治療・予防の効果が得られるかのように表示。資料が合理的根拠と認められず、景品表示法違反。
「簡単に巨乳メリハリボディになる裏技解禁!」などの表示に2021年に措置命令。2023年に課徴金納付命令(1億1716万円、1944万円)。美容・体型系の表示が最も重い処分につながった例。
「腸活」「妊活」などのキャッチフレーズ型の表示と、体験談・ビフォーアフターなどの「お悩み訴求」を、健康保持増進効果の表示例として明記。語を言い換えて逃れる手法が封じられた。
届出のある機能性表示食品でも、「血圧をグーンと下げる」など届出範囲を超える表示をし、根拠と認められず課徴金。届出があっても言い過ぎれば処分されるという例。
出典:ヘルスビジネスオンライン
06 / CHECKLIST
SOURCES